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変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝の関節内部の軟骨が摩擦により磨り減り、その結果、軟骨下の骨が露出し、互いに衝突することで痛みや関節の変形を引き起こす疾患です。

日本では、毎年約90万人がこの病気を発症し、約1000万人が治療を受けているとされています。これは、非常に多くの人々が影響を受けている疾患であることを示しています。

また、変形性膝関節症は、女性に比べて男性の約2倍の頻度で発症し、特に60歳以上の方や肥満の方に多く見られる傾向があります。

変形性膝関節症の症状

変形性膝関節症の進行度は、患者が自覚する症状に基づいて、3つのレベルに分類されます。 ※ただし、症状の出現パターンや進行速度は個々の患者により異なるため、症状が必ずしも病状を正確に反映しているわけではありません。

初期

痛みは、主に朝起きた直後や歩行を開始した際など、動作を始めたときにのみ感じられます。 さらに、少し休むと痛みは軽減します。 このため、この種の痛みを「老化の一部」と誤解し、治療を受けない人も少なくありません。 X線検査(レントゲン)では、特別な異常は見つかりません。

中期

しゃがんだり、正座したり、階段を上ったり下ったりする(特に下りるとき)など、膝にストレスがかかる動作を行うと、痛みが生じます。 膝を曲げたり伸ばしたりするのが難しくなり、膝を動かすときにはギシギシとした不快感があり、膝に水分が溜まって腫れると重苦しい感じがします。 膝が外側に曲がる(O脚)という膝の変形が見られることもあります。 X線検査では、太ももの骨(大腿骨)と膝下の骨(脛骨)の間隔が狭まっていることが確認できます。

末期

関節軟骨の摩耗が進行し、膝関節内部に空間が存在しない状態になります。 骨と骨がこすれ合うことや骨の突起が形成されることにより、何もしていない状態でも痛みを感じるようになります。 膝の変形(主にO脚、稀にX脚)が目立つようになり、膝が完全に伸びなくなり、歩行が困難になります。 仕事や買い物などの日常活動が思うように行えなくなるため、高齢者の場合、うつ病や認知症のリスクが高まる可能性があります。

変形性膝関節症の発症を促す要因・原因

変形性膝関節症が発生する主要な要因は、「加齢に伴う膝関節内の関節軟骨の摩耗」です。 関節軟骨の老化以外にも、以下のような要素が存在すると、病気が発症しやすくなる可能性があります。

⼥性・⾻粗鬆症・筋⼒低下

閉経により、筋力が急速に低下し、その結果、膝関節にストレスがかかるようになります。

遺伝⼦(遺伝的素因)

両親のどちらかがこの病気を発症している場合、発症しやすい傾向があります。

肥満・急激な体重増加

体重が過度に増加すると、膝にかかる負荷も増大します。
※肥満度(BMI)は体重(kg)を身長(m)の二乗で割ったものです。BMIが25以下が適正とされています。

重度のO脚・X脚など⾜の変形

日本人は元々O脚が多く、膝の内側に負荷がかかります。

膝関節周りの怪我や病気がある

膝関節の骨折、捻挫、関節軟骨の損傷、靭帯や半月板の損傷、反復性膝蓋骨脱臼、大腿骨内顆骨壊死、関節リウマチ、痛風など

変形性膝関節症の検査・診断⽅法

当院では、問診、触診、レントゲン検査を用いて、疾患の進行状況や膝の痛みの原因を特定し、適切な治療法を見つけ出します。

問診・視診・触診

自覚的な症状、膝の内側に圧痛が存在するか(押すと痛いか)、膝関節の動きの範囲、腫れの有無、O脚などの変形が見られるかどうかを検証します。

X線検査(レントゲン検査)

膝関節の変形度を確認します。関節軟骨はレントゲンでは映らないのですが、関節軟骨の摩耗度は骨と骨の間隔の狭さから推測します。 また、関節軟骨の下の骨の硬化や骨の突起(骨棘)の有無を確認します。

さらに、エコー検査(超音波検査)でX線検査では確認できない早期の骨棘や骨・靭帯・半月板などの状態、水分が溜まっているかどうかを確認します。エコー検査による半月板の不安定性を見ることで、大まかな変形の進行速度を予測することも可能です。 似た疾患との鑑別のため、必要に応じて関節液検査、MRI検査、血液検査などを行うことがあります。

治療法

保存的療法(セルフケア・リハビリ・薬物療法・装具療法・注射など)

保存的療法(一般には保存療法)とは、手術を伴わない治療手段の全体を指す言葉です。

日常での注意(膝のセルフケア・ホームエクササイズの指導)
リハビリ
薬物療法(痛み止めの処方)

鎮痛薬を内服するか、外用薬(湿布や塗り薬など)を使用します。 コンドロイチンやコラーゲンなどのサプリメントの効果は、まだ科学的に証明されていません。失われた軟骨を再生するためには、一度に何本もの瓶を飲む必要がありますが、現実的には効果は期待できないというのが現在の認識です。

装具療法

装具(例えば、サポーターやインソールなど) インソールを使用して体重がかかる位置を調整し、膝関節用のサポーターで関節の安定性を確保することは、症状の軽減に有効です。

手術療法

関節鏡

膝を微細に開き、関節内に内視鏡を導入し、映像を通じて痛みの根源となる関節内の組織や変形した半月板の処理を行います。 この手術は体への負荷が比較的少ないですが、現在のところ、変形性膝関節症の治療としては推奨されていません。

高位脛骨骨切り術

この手術は、65歳未満で軽度の変形を持つ方に適しています。手術では、すねの骨(脛骨)に切り込みを入れ、ネジやプレートを使用して固定し、膝関節の骨が正しく対向するように矯正します。プレートは時間の経過とともに骨に結合します。

手術後は約1か月から1か月半の入院が必要となり、退院後もリハビリテーションを続ける必要があります。この手術の利点は、自身の骨を保持できることです。しかし、手術後約15~20年後には痛みが再発し、人工関節置換手術が必要になる可能性があります。ご了承ください。

人工膝関節置換術

この手術は、問題を抱えた膝関節面を取り除き、チタン合金やポリエチレンなどの耐久性が高い素材で作られた人工関節に置き換えるものです。日本国内では、年間で約8万件以上のこの種の手術が実施されています。

人工関節置換術を受けることで、痛みがなくなり歩行が改善するなどの利点があります。しかし、再手術の可能性、手術による体への大きな負担、感染症による合併症のリスクなどの欠点も存在します。

置換術には2つのタイプがあります。「人工関節単顆置換術(UKA)」は、変形が進んだ部分だけを人工関節に置き換えます。一方、「人工膝関節全置換術(TKA)」は、膝関節全体を人工関節に置き換える手術です。どちらの手術も、患者の状況に応じて適切に選択されます。

人工関節単顆置換術:UKA

この手術は、痛みを感じる部分だけを人工関節に置き換えるものです。高度な変形がなく、65歳以上で膝の動きに問題がない方に最適な手術となります。必要な十字靭帯等は全て保持され、正常な膝と同等の動きが可能で、スポーツを行う上でも問題ありません。この手術は15年以上の長期的な成果が確認されており、変形が進んだ関節部分だけを人工関節に置き換えるという方法を採用しています。

人工膝関節全置換術:TKA

この手術は、高度な変形と顕著な活動制限がある場合に、あらゆる年齢層に推奨されます。近年では、20年以上持続する人工関節の成功率が90%を超える時代になり、専門的な外科医によって適切に手術が行われれば、痛みのない一生持続する膝関節への治療が可能になっています。

さらに、手術の切開部分を小さくし、術後の痛みを最小限に抑える手術(MIS)や術後の管理も進化しており、術後の苦痛に対するイメージも大幅に改善されています。

第三の治療法「PRP療法」

手術が必要なほどではないが、保存療法で痛みが十分に軽減されない方に対して、PRP療法は近年、注目を集めています。ただし、この治療は自己負担となります。ご了承ください。

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変形性股関節症

変形性股関節症

「股関節」は人体の中で最も大きな関節で、体重を支えるだけでなく、「立つ」「歩く」「座る」などの日常的な基本動作を可能にする重要な関節です。 股関節の疾患の中でも、「変形性股関節症」は最も多くの患者数を持っています。

変形性股関節症は、股関節の軟骨が徐々に摩耗し、股関節の痛みや歩行困難を引き起こす疾患で、現在、日本国内では100万人以上の患者が存在すると推定されています。 一度発症すると、この疾患は静かに進行します。そのため、痛みや歩行困難など、脚の付け根に異常が出現した場合は、早めに診察を受けることが重要です。

変形性股関節症の症状とは?

変形性股関節症の症状は以下の大きく3つに分けられます。

① 股関節の痛み

変形性股関節症の主な症状は股関節の痛みで、その痛みは病状の進行により変わります。 病状が初期の段階で、軟骨の表面が少し摩耗している程度では、ほぼ痛みは感じません。しかし、軟骨の摩耗が進行すると、股関節の付け根や大腿骨上部の外側にある大転子周辺で痛みを感じ始めます。

特に、立ち上がったり歩き始めたりする時に急な痛みを感じる「始動痛」が特徴的です。病状が進行するにつれて、痛みを感じる時間は長くなります。 最終的には、安静時でも痛みが続くようになり、夜間の痛みにより睡眠に影響を及ぼすこともあります。ご了承ください。

② 股関節の動きが悪い

股関節の痛みが持続すると、周囲の筋肉が硬くなり、股関節の動きが制限されます。 この状態は「関節拘縮」と呼ばれ、関節の可動範囲が狭まることで、靴下の着脱、足の爪の切り方、正座、和式トイレの使用などの日常的な動作が困難になります。 さらに、関節拘縮の症状が進行し、末期になると、片側の骨盤が傾き、脚の長さに差が出る(脚長差)ようになります。

③ 跛行(はこう)

跛行は、肩を前方に突き出し、足を引きずりながら歩く症状を指し、これは変形性股関節症が進行するときに特に見られる典型的な症状です。 痛みを感じる側の足を保護するための歩行、安静時に筋力が低下すること、脚の長さに差が出ることなどが原因で、股関節が不安定になり、全身のバランスが崩れ、結果として跛行が生じます。

股関節のしくみと発症のメカニズム

股関節は、骨盤と大腿骨を接続する関節です。 大腿骨の上端に位置する「骨頭」は球状で、骨盤の「寛骨臼」内の「臼蓋」という受け皿部分にぴったりと収まる構造を持っています。

骨頭と臼蓋の間には、クッションの役割を果たす2~3mmの厚さの軟骨が存在し、これにより骨同士が直接接触することを防いでいます。 さらに、その周囲は「関節包」という袋で保護され、その内部は「関節液」という液体で満たされています。*1

*1 関節液は、関節のスムーズな動きを支える潤滑油のような役割を果たし、また軟骨に栄養を供給する機能も持っています。

軟骨の主成分は水とコラーゲンで、血管や神経は存在しないため、軟骨が少し摩耗しても痛みは発生しません。 しかし、軟骨の摩耗が進行し、次第に軟骨の下の骨が露出すると、骨同士が直接擦れ合うことで痛みが生じ、骨同士が圧迫されることで骨が硬化する「骨硬化」の症状が現れます。

さらに症状が進行すると、接触している骨の周囲に「骨のう胞」という穴が形成されます。そして、これを修復しようとする反応により、「骨棘」という突起状の骨が形成され、徐々に関節(骨)自体が変形していきます。

変形性股関節症発症の原因は?

変形性股関節症は発症のきっかけとなる原因によって一次性と二次性の大きく2つに分けられます。

①一次性変形性股関節症

股関節自体に明確な問題がない場合でも、長い期間にわたり関節を使用し続けることで、軟骨が徐々に摩耗し、ある時点で痛みや他の自覚症状が現れることがあります。 肥満者や股関節にストレスを与えるスポーツを行っている人、または肉体労働者など、長年にわたり特定の活動を続けている人々に多く見られ、特に欧米人に多い傾向があります。

②二次性変形性股関節症

特に日本人に多いタイプの股関節症は、生まれつき股関節の骨の形状に異常があるケースや、特定の疾患が引き金となって発症します。 二次性の症例の中でも、特に多いのは「発育性股関節形成不全*2」や「臼蓋形成不全*3」など、子供の頃の疾患の後遺症によって発症するケースです。これらの症状は自覚症状がないまま中年期になってから発症することもあります。 これらの疾患は男性よりも女性に多く見られ、その結果、変形性股関節症の患者は女性が多いという特徴があります。*4

*2 これは、生まれつき、または乳児期のオムツの巻き方などが原因で股関節が外れてしまう疾患で、現在では発症数は減少しています。
*3 これは、臼蓋が不完全な形で成長し、大腿骨の骨頭が適切に収まらずに浅くなってしまう疾患です。
*4 変形性股関節症の女性の有病率は男性の2倍で、女性特有の骨盤の構造、筋力不足、冷えなども発症に関連していると考えられています。

毎日の生活で気を付けること

①体重コントロール

股関節は体重を支える役割を果たしており、歩行時には体重の約3倍、椅子から立ち上がる際には6~7倍、さらに低い位置から立ち上がる時には驚くことに10倍もの負荷がかかるとされています。体重が少し増えるだけでも、股関節には大きなストレスがかかり、痛みや他の症状の悪化を引き起こす可能性があります。 肥満傾向のある方は、食事の内容を見直したり、運動によるダイエットを行ったりして、適切な体重を維持することが重要です。

②適度な運動

急性期や痛みが激しい時は、安静にすることが必要ですが、筋肉の緊張を緩和し、股関節を柔軟に保つためにも、適度な身体の動きが重要です。 水泳や水中ウォーキングは、水の浮力により股関節への負担を軽減できるため、特に推奨されます。 患者の体力や股関節の状態に応じて行うことで、関節の可動範囲を拡大し、痛みの軽減にも寄与します。

③「冷え」の予防

体温が下がると血液の流れが滞り、筋肉が硬くなり痛みが増します。常日頃から適切な服装を心掛け、特に腰部分が冷えないように注意しましょう。また、お風呂で体をしっかりと温めることも効果的です。 ただし、腫れや熱がある場合には、温めることが逆に悪影響を及ぼすため、その際は入浴は控えてください。

④ライフスタイルの見直し

日本の生活様式、例えば和式トイレや布団は、股関節にストレスを与える可能性があります。可能な限り、椅子、ベッド、洋式トイレなどの西洋式の生活スタイルに移行し、股関節への負荷を軽減しましょう。さらに、日常的に履く靴については、硬い底の靴やハイヒールは避け、フラットなスニーカーのようなタイプを選ぶことをお勧めします。

変形性股関節症の検査方法

変形性股関節症の診断は、主に問診とレントゲン検査によって行われます。 医師は問診を通じて、痛みの程度、持続時間、痛みが始まった時期などを把握し、レントゲン検査を用いて股関節の軟骨の消耗度や骨の状態を評価します。

軟骨は柔らかく、レントゲンでは映らない特性がありますが、臼蓋と大腿骨頭の間隔が適切であれば、軟骨はまだ十分に存在していると判断できます。 一方、臼蓋と大腿骨頭の間隔が狭まり、骨と骨が接近している場合は、軟骨が摩耗していると考えられ、骨の形状やズレなど、骨自体の変化をレントゲン画像から確認することが可能です。(必要に応じてMRIやCTも使用されます)

さらに、「関節リウマチ」など他の疾患が疑われる場合は、血液検査や関節液検査(股関節の関節液を採取し、その成分を分析する)など、より詳細な検査が行われることもあります。

変形性股関節の治療方法

変形性股関節症の治療法は主に二つ、「症状を管理する治療」と「外科的手術」があります。しかし、手術は最終手段とされ、通常は薬物療法や運動療法を用いて痛みをコントロールしながら状態を観察していきます。

①薬物療法

薬物療法は、主に痛みを緩和するための対症療法であり、一度損傷した関節を元の状態に戻すことはできません。しかし、患者の痛みを軽減し、関節の状態を改善することで、患者の生活の質を向上させることが可能です。

急性期の激しい痛みや夜間の痛みに対しては、主に非ステロイド性抗炎症薬という種類の鎮痛剤が処方されます。内服薬は即効性がありますが、長期間の使用は胃腸障害や腎機能障害などの副作用を引き起こす可能性があるため、外用薬(湿布)や坐薬など、患者の状態に応じて適切に使用されます。

②運動療法(リハビリ)

強烈な痛みがある場合、最初に必要なのは安静です。しかし、長い間動かさないと筋肉が硬化し、可動範囲が制限されます。 股関節の動きが制限されると、軟骨に栄養を供給する関節液の分布が不十分になり、軟骨の状態も悪化します。そのため、痛みが少し和らいだら、医師や理学療法士の指導のもとで、関節が容易に動く状態を維持するためのストレッチングを始めます。

さらに、太もも、お尻、腹筋など、股関節周辺の筋力を強化することで、股関節への負荷を軽減できます。そのため、患者の状態に応じた適切な強度の筋力トレーニングも段階的に導入します。

③手術療法

薬物療法などで改善が見られず、患者の日常生活が大幅に制約されている場合、適切なタイミングで手術が必要となることがあります。

手術方法は主に二つ、「自身の関節(骨)を保持する手術(自骨手術)」と「関節の一部または全体を人工関節に置き換える手術(人工関節置換術)」があります。 自骨手術の利点は、自分の骨を利用できることですが、リハビリテーションに時間がかかるという課題があります。一方、人工関節置換術では、人工物を体内に取り入れることになりますが、リハビリテーション期間が短く、早期の社会復帰が可能というメリットがあります。 どちらの手術を選択するかは、股関節の状態だけでなく、患者の年齢、職業、生活環境、社会復帰までの時間なども考慮に入れて決定します。

痛みにより日常生活が困難で、引きこもりがちだった患者でも、手術後は痛みから解放され、元気に生活を送ることができる方が多くいます。

四十肩

四十肩とは

四十肩

肩関節やその周囲の筋肉(腱板とも呼ばれます)が炎症を起こしたり、癒着したりすることで、肩に痛みが生じ、関節が硬化(拘縮)し、腕が上がらなくなる症状のことを一般的に四十肩(五十肩)と称します。

「四十肩は自然に治る」という言葉をよく耳にしますが、放置すると関節が硬化し、結果的に完全に治るまでに長い時間が必要になることがあります。そのため、痛みの早期改善と、関節が硬化する前に動きを取り戻すことが推奨されます。

原因

肩関節は、上腕骨、肩甲骨、周囲の筋肉、そして関節の袋(関節包)によって形成され、これにより滑らかな動きが可能となります。 肩関節周囲炎の主要な原因は、これらの筋肉と関節包の間で炎症が発生することです。この炎症により、筋肉の付着部分に石灰が堆積することもあります。

症状

初期段階では、肩関節に違和感(奥が重いと感じる程度)が生じ、症状が進行すると、頭や顔に手を伸ばすことができなくなり、洗濯物を干すことも困難になります。特に、「夜間痛」、つまり、睡眠中に痛みで目覚める症状は、日常生活に最も大きな影響を及ぼすことが多いです。

腰痛

原因

腰痛

腰痛や臀部、足のしびれは、主に以下の要因により引き起こされます。

  • 姿勢の悪さや筋肉の疲労
  • 骨粗鬆症などによる胸腰椎の圧迫骨折(無自覚の骨折)
  • 腰椎の変形(変形性脊椎症、腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症など)
  • 椎間板の変性による突出とそれによる神経の圧迫(頸椎椎間板ヘルニア)
  • 尿管結石や腎盂腎炎など、泌尿器科の疾患
  • 糖尿病や動脈硬化症による下肢の血流不良

症状

腰痛は、腰周辺の鈍い痛み、鋭い痛み、温かさや冷たさなど、さまざまな形で現れます。 腰部に特化した重く、鈍い痛みは、腰部周辺の筋肉の疲労を示唆しています。また、高齢者が起き上がったり動き始めたりしたときの激しい痛みは、腰椎圧迫骨折を疑わせます。

臀部や下肢に響くような痛み、しびれ、歩行中に徐々に増える痛みなどは、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症を示唆しています。

肩こり、頸の痛み

肩こり、頸のいたみ、上肢のしびれ

肩こり

肩こり、頸椎の痛み、上肢のしびれは、主に以下の要因により引き起こされます。

  • 姿勢の悪さや筋肉の疲労
  • 頸椎の変形(頚椎症、頚椎症性神経根症、頚髄症)
  • 頸椎の椎間板の変性による突出とそれによる神経の圧迫(頸椎椎間板ヘルニア)

姿勢や筋肉疲労からくるもの

硬化した頸椎や肩周囲の筋肉に起因する痛みやこり、さらに筋肉による神経圧迫によるしびれが発生します。これらの症状は、長時間同じ姿勢を保つ(例えば事務作業や学習)や目の疲労(パソコン作業やスマートフォンの使用)が原因となることが多いです。

診断は頸椎のレントゲン撮影によって行われます。多くの患者では、頸椎のゆるやかなカーブが消失する(ストレートネック)という現象が観察されます。部分的な摩耗や変形も見られることがあります。

頸椎の変形からくるもの(頚椎症、頚椎症性神経根症、頚髄症)

頸椎の椎間板の変性による突出→神経の圧迫(頸椎椎間板ヘルニア)

頸椎の変形は、加齢に伴う頸椎間の摩耗により生じます。頸椎の痛みが主な症状であれば、それは頚椎症と呼ばれます。肩や上肢の痛みやしびれが伴う場合は、神経根症と診断されます。また、両上肢の運動障害や歩行障害が現れる場合は、脊髄症となります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症

「骨粗鬆症」とは、特定の身体的要因により骨折が起こりやすい状況を指すと説明されます。これらの「特定の要因」には、骨密度の減少、運動能力の低下、骨質の劣化、そして基礎疾患(例えば糖尿病や関節リウマチなど)が含まれています。

骨粗鬆症による骨折

「骨粗鬆症」による骨折は、「骨脆弱性骨折」と称され、その中には上腕骨骨折、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)、脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折(股関節の骨折)が含まれます。特別に、脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折が発生すると、歩くことが不可能になり、入院や手術が必要となるため、これら2つの骨折はきちんと予防することが重要です。

骨粗鬆症を治療せずに放置すると、骨折のリスクが増加し、骨折による活動の制限→意欲の喪失→食欲や思考力の低下→社会からの隔離、認知症へと進行する可能性があります。

診断、検査

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」に従うと、最も信頼性の高い骨密度検査は、腰椎と大腿骨をDEXAという手法で測定することです。骨密度検査でYAM(若年比)が70%未満の場合、骨粗鬆症と診断されます。さらに、腰椎圧迫骨折または大腿骨近位部骨折の病歴がある方も、骨粗鬆症と診断されます。 さらに、血液検査を通じて患者の骨粗鬆症のタイプを特定し、治療戦略を立てます。

予防、ご家庭でできること

運動療法において、四肢の筋力強化は、転倒を防ぐだけでなく、骨密度を保つためにも効果的とされています。特に、下肢の筋力強化(スクワットや片足立ちなどの運動)は有益です。適切な量の定期的な運動を続けることが重要です。 食事に関しては、カルシウムの摂取は非常に重要です。成人が1日に必要とするカルシウムの量は、大体550mg程度です。さらに、カルシウムを吸収するためには、ビタミンDとタンパク質の摂取、そして定期的に日光を浴びることも大切です。

小児整形外科

小児

小児整形外科は、子ども特有の整形外科として、脊椎・脊髄や四肢の骨・関節・筋肉・靭帯など、運動器系の疾患や怪我の診療を提供しています。

子どもは大人とは異なり、急速な成長と発育の過程にあります。そのため、大人にとって問題となる疾患でも、子どもでは成長に伴って自然に治癒する場合もあります。しかし、逆に子どもの場合、病状が徐々に悪化することもあります。 このような理由から、「成長」という要素を考慮に入れた包括的な診断と治療が必要となります。

また、小児整形外科では、大人の整形外科とは異なり、注射や薬による治療よりも、リハビリテーション、装具療法、手術による治療が中心となります。

小児整形外科で取り扱う主な疾患

先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)

股関節が脱臼している状態を指します。乳児健診では、股関節の開きにくさが指摘されることがあります。これは将来的に痛みや歩行困難を引き起こす可能性があります。

頻度としては、1,000人中1~2人程度がこの状態にあり、女児の方が男児よりも多いです。単殿位(子宮内で膝を伸ばした姿勢)で生まれた赤ちゃんや、母親や祖母が股関節脱臼の病歴がある場合、股関節脱臼になりやすい傾向があります。 原因としては、脱臼しやすい要素を持つ子どもが、おむつ替えやスリングなどで足を強く伸ばして固定されることが多い場合、股関節が外れやすくなります。生まれた時から脱臼していることは少なく、近年では先天性ではなく、「発育性」と呼ばれることもあります。

症状としては、股の開きにくさ(開排制限)の他に、足を伸ばしたときに太ももの皺が増える、両膝を立てると高さが低くなる、両足を持ち上げると脱臼側のお尻が膨らむなどの症状が現れます。重度の脱臼では、両足の長さに差が出ることもあります。また、既に歩行を始めている場合には、足を引きずる(跛行)症状が見られます。 治療法としては、完全脱臼や亜脱臼の場合、生後3〜4か月から「リーメンビューゲル」という専用のバンドを使用して治療を行います。

内反足(ないはんそく)

生まれながらにして、足が内側に曲がり、足の裏が内側を向く状態を指します。早期の治療が必要とされています。足以外の部分は通常正常に発育していることが一般的です。(これを特発性内反足と呼びます) 頻度としては、2,000人中1人程度がこの状態にあり、男の子の方が女の子よりも多いです。 原因としては、発育異常が考えられますが、まだ詳細な原因は明らかになっていません。 症状としては、足の前部が内側に向く“内転”、かかとが内側に向く“内反”、足の先端が下向きになる“尖足”が見られます。

治療法としては、Ponseti(ポンセッティ)法があります。 これは、医師による手技による矯正と、お尻からつま先までを約4~8週間専用ギプスで固定する方法です。 最後のギプス固定前に、局所麻酔を用いて“アキレス腱切除術”を行うことが一般的です。 ギプスを取った後は、左右が棒でつながった靴を約3ヵ月間1日23時間履き、2~4歳までは寝る時だけ履くことが推奨されます。

筋性斜頚(しゃけい)

首を常時左右いずれかに向けて傾ける状態を指します。 頻度としては、1,000人中2~3人程度がこの状態にあり、骨盤位(逆子)で生まれた赤ちゃんに多く見られます。 原因としては、首の片側の筋肉にできたしこりが硬く収縮することが挙げられます。また、向き癖が原因の場合もあります。

症状としては、しこりがある方向に首が傾き、顔はその反対方向を向きます。しこりは、生後2~3週間で最も大きくなり、その後徐々に小さくなっていきます。 治療法としては、約90%は1歳半までに自然に治癒します。3~4歳までに改善しない場合は、手術が必要となります。

側弯症(そくわんしょう)

背骨が左右に曲がっている状態を指します。側弯が進む前に治療を開始することが重要であり、そのために学校での健診が行われています。 頻度としては、「思春期特発性側弯症」が全側弯症の約80%を占め、これは小学校の高学年から中学生の間に発症します。100人中2~3人程度がこの状態にあり、女子の方が男子よりも多いです。また、母親が側弯症の病歴がある場合、発症率が高くなります。

原因としては、特発性側弯症の原因はまだ明らかになっていません。 症状としては、背骨が曲がり、背骨自体がねじれることもあります。脊柱の変形により、左右の肩の高さに違いが出たり、肩甲骨が突き出たりすることもあります。 治療法としては、曲がりの程度が軽い場合は経過観察が行われます。中等度(20~45度)の場合は、進行を防ぐために装具治療が行われ、重度の場合は手術が必要となります。

O脚・X脚

O脚は、両膝が外側に曲がっている状態を指し、X脚は、両膝が内側に曲がっている状態を指します。O脚の変形は、将来的に変形性膝関節症を引き起こす可能性があります。 頻度としては、2歳までの子どもの大部分がO脚(生理的O脚)を示します。そして、3~4歳になると、逆にX脚になる傾向があります。

原因としては、病的なO脚の場合、くる病やブラント病などが考えられます。 症状としては、足を揃えて立つと、O脚では両膝間が開き、X脚ではくるぶし間が開きます。原因が生理的な場合、症状は左右対称になりますが、片側だけが変形している場合は、病的な要素が疑われます。 治療法としては、生理的O脚の場合、7歳頃までに自然に大人と同じ膝の形状になります。くる病の場合は、装具療法や手術が行われます。

ペルテス病

大腿骨の股関節部分の血流が不足し、その結果、大腿骨の頭部が一時的に壊死する疾患を指します。 頻度としては、3~6歳の男の子に多く見られ、受動喫煙との関連性が指摘されています。 原因としては、血流が不足する具体的な原因はまだ明らかになっていません。 症状としては、股関節に痛みが生じ、その結果、足を引きずるような歩行となります。また、膝にも痛みが出ることがあります。

治療法としては、壊死した部分は約1年半~2年で自然に回復しますが、その間は装具療法が行われます。運動機能に障害がある場合には、牽引療法や手術が行われます。

オスグッド病

脛骨結節(膝のお皿の下の部分)が突出し、痛みを引き起こす状態を指します。スポーツを行っていないときは痛みがなく、スポーツを始めると痛みが再び現れるのが特徴的です。これは「成長痛」の一種とも考えられます。 頻度としては、1,000人中3~7人がこの状態にあり、特に10代前半(小学校の高学年から中学生)でスポーツを頻繁に行っている子どもに多く見られます。

原因としては、飛び跳ねたり、ボールを蹴ったりするようなスポーツを過度に行うことにより、膝の成長軟骨部が剥がれることが挙げられます。 症状としては、膝の痛みの他に、腫れや赤み、熱感がある場合もあります。 治療法としては、10代前半は骨が成長する時期であり、成長が一段落すると自然に治癒します。そのため、痛みがある間はスポーツを控えることが推奨されます。痛みが強いときに限り、痛み止めや湿布を使用します。 また、お子様の体調について何か気になることがあれば、何でもお気軽にご相談ください。

成長痛

成長痛とは?

成長痛

「成長痛」という言葉は、一般的に「幼児期、学童期、思春期の子どもが経験する足(下肢)の痛み」を指す言葉として認識されています。 しかしながら、この言葉は時として誤解を招くことがあります。

なぜなら、スポーツを頻繁に行う子どもたちがしばしば罹患する膝のオスグッド病や踵のシーバー病などのスポーツ障害も、「成長痛」の一部として語られることがあるからです。しかし、これらの病状は「成長痛」とは異なるものであることを理解することが重要です。

成長痛の症状

以下の症状がある場合、それは「成長痛」である可能性があります:

これらの症状が2週間から1ヶ月程度続く場合、それは「成長痛」である可能性が高いです。

成長痛が起こりやすい年齢

幼児期(3歳)~児童期(12歳)あたりでみられ、特に3歳~5歳あたりは、「一次成長痛」として、足の痛みが現れやすい時期とされています。 有病率は、世界的に10~20%とされ、近年オーストラリアで行われた調査では、4~6歳児の約37%に「成長痛」が認められたと報告されています。

痛む場所・痛む期間

成長痛は主に下肢、つまり足に現れます。最も一般的に痛みを感じるのは膝ですが、ふくらはぎ、すね、足の関節、太ももなども痛むことがあります。痛みが出る場所は一定ではなく、時期によって変わることがあります。また、痛みが続く期間は数か月から、場合によっては数年に及ぶこともあります。

成長痛の原因

「成長痛」という言葉がありますが、これは骨が成長することによる痛みを指すものではなく、その原因は医学的にはまだ明らかにされていません。

一方で、成長痛の発生にはストレスが関与していると考えられています。 大人がストレスを感じると頭痛や腹痛を起こすことがありますが、子供たちにとってはそのストレスが「足の痛み」として表れることがあります。ストレスと聞くと、「自分が子供にストレスを与えてしまっているのでは?」と思いがちですが、それは必ずしもそうではありません。子供たちは成長過程で、生活を送る上で年齢に応じた様々なストレスを経験します。

特に、一次成長痛が多いとされる3歳から5歳の間は、親と一日中過ごす乳幼児期から独立して自分で行動しなければならないことが増え、ストレスが溜まりやすい時期です。 食事、お風呂、歯磨き、遊びの中断、保育園や幼稚園での集団生活、友人関係など、これらの日常生活を規則正しく遂行することに慣れていないため、疲れやストレスを感じやすくなります。

さらに、小学生(6~11歳)になると友人関係や学校の先生との関係、習い事などのストレスが増え、12歳以降(思春期)になると異性関係や親子関係など、成長とともにストレスの原因も変化します。これらの心のストレスも足の痛みとして現れることがあります。

また、幼児期や学童期は足の発達が未熟で、偏平足や関節が柔らかい子供もいます。日中に活発に動き回ると筋肉が疲れ、夕方から夜にかけて足の痛みやだるさ、不快感が出ることも、成長痛の一因とされています。

成長痛の対処方法

重要なのは、成長痛が仮病ではなく、実際に痛みを感じているということを理解することです。また、ストレスの原因は多くの場合明確ではなく、取り除くことが難しいため、子供の痛みに注目することが大切です。以下のポイントを参考に、子供のストレスを軽減する生活を送ることを心掛けてみてください。

テニス肘

テニス肘(上腕骨外側上顆炎:じょうわんこつがいそくじょうかえん)とは

テニス肘

テニス肘は、手首にストレスをかける動作を行うと、肘の外側から前腕(肘から手首までの部分)に痛みが生じる症状を指します。医学的には「上腕骨外側上顆炎」という名前の肘の疾患です。

この症状は、ラケットを使ってボールを打つ動作を頻繁に行うテニスプレーヤーによく見られるため、「テニス肘」または「テニスエルボー」と一般的に呼ばれています。しかし、実際にはテニス以外のスポーツや日常生活の動作でも発症することがあります。

症状が進行すると、コップを持つことができないほどの激しい痛みを伴うことがあり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。

テニス肘の症状は?

テニス肘は、一般的には静止状態では痛みをあまり感じませんが、「手首を反らせる」「手首をひねる」「指を伸ばす」などの手首を使う動作をすると、肘の外側に痛みが現れることが特徴的です。 日常生活で「物を掴んで持ち上げる」「ドアノブを回す」「タオルを絞る」「キーボードを打つ」などの動作を行うときにも強い痛みを感じることがあります。

症状の出方は個々によります。突然強い痛みが出ることもあれば、徐々に痛みが増すこともあります。 腕は日常的に頻繁に使う部位であるため、一度テニス肘になると治りにくいことがあります。症状が進行すると、安静時でも肘に鈍い痛みが続くことがあります。

テニス肘発症のメカニズム

「上腕外側上顆」とは、肩から下に伸びる上腕骨(二の腕の骨)の下部外側に位置する突出部分のことを指します。 この部分には、手首の動きや指の伸縮を制御する筋肉(短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋、総指伸筋など)が集まっています。これらの筋肉の中で、「短橈側手根伸筋」の付け根部分、すなわち「腱」に炎症が生じると、それがテニス肘と呼ばれる症状を引き起こします。

腕を過度に使うことで、短橈側手根伸筋の腱に過大なストレスがかかり、微細な裂け目や炎症が発生し、それが痛みを引き起こすとされています。

テニス肘発症の主な原因

①テニスをはじめとする腕を酷使するスポーツ

ボールをラケットで打つ際の衝撃は、手首から肘の付け根の腱まで伝わります。 テニスプレーヤーがテニス肘を発症する主な理由は、「ラケットを振る」という動作を繰り返すことで、腱の付け根の筋肉が持続的なストレスを受け、炎症を起こすからです。特に、バックハンドストロークを行う際には強い痛みを感じることがあります。

週に3回以上テニスをするとテニス肘の発症率が上がるとの報告がありますが、そのほとんどは「腕の過度な使用(オーバーユース)」が原因です。しかし、初心者や中級者の場合、ラケットの面を正しくボールに当てられないことや、ラケットの材質、ガットの硬さ、衝撃吸収性などが関連して発症することもあります。

テニスだけでなく、バドミントン、ゴルフ、卓球などの手を頻繁に使うスポーツを行う人々もテニス肘を発症することが多いため、テニス肘は「スポーツ障害(同じスポーツを繰り返し行い、骨や筋肉の過度な使用が原因で生じる傷害)」の一つとされています。

②腕を酷使する職業

テニス肘は、スポーツだけでなく、重い荷物を頻繁に運ぶ運送業者や、料理人、大工などの手首を頻繁に使う職業でも発症することがあります。 「重い物を持ち上げる」「重い鍋を振る」など、日常生活で腕に負荷をかける動作を繰り返すことにより、肘には慢性的な疲労が蓄積され、腱に炎症が生じることがあります。

③加齢、性別などの要因も

テニス肘は、若年層よりも30歳から50歳以上の年齢層で発症することが多いです。これは、年齢とともに腕の筋力が徐々に低下し、肘の腱の強度も減少するためと考えられています。特定のスポーツや職業が原因でなく、痛みが徐々に現れることもあります。 さらに、テニス肘は男女問わず発症しますが、筋力が比較的弱い女性や、家事などで頻繁に腕を使う中高年の主婦には特に多く見られます。

テニス肘の予防

テニス肘の予防には、過度な手の使用を避けることが最も重要です。しかし、以下のケアを定期的に行うことで、発症の予防や症状の改善に役立つでしょう。これらのケアは日常的に実践することをお勧めします。

①肩や腕のストレッチ

ストレッチは、テニス肘の予防に加えて、痛みの軽減にも有効です。 「肘をまっすぐに伸ばし、手首を曲げて30秒間保持した後にリラックスする」というストレッチを何度か行うと良いでしょう。また、腕全体や手首をゆっくりと回すだけでも効果的です。

②筋力トレーニング

長期間にわたる症状や慢性的なテニス肘に対しては、筋力強化のトレーニングが効果的です。 軽いダンベル(約1㎏)やチューブを使用して、手首の関節を曲げ伸ばす運動を行います。ただし、痛みや熱感がある場合は、症状が悪化する可能性があるため、運動は控えてください。

③サポーターまたはテーピング(肘、手首)

テニス肘の症状を和らげるためには、衝撃を吸収するサポーターやテーピングが有効です。これらは、日常生活での活動から起こるテニス肘だけでなく、特にテニスなどのスポーツ活動によって引き起こされるテニス肘に対しても効果的です。市場には幅広いタイプと狭いタイプの両方がありますので、自分に合ったものを見つけて試すことをお勧めします。

④アイシング(冷却)または患部の温め

急性期の痛みが始まったとき、体は熱を持っているため、氷を使って患部を冷却すると痛みが軽減されます。しかし、痛みが数ヶ月続き、慢性化した場合、アイシングは逆に効果がなくなります。その場合、温めることで痛みが和らぐので、お風呂で患部を温めることをお勧めします。

テニス肘の診断・検査

テニス肘の診断は、レントゲン検査と、痛みの反応をチェックする3つのテストによって行われます。これらのテストは、外来診療時に医師が容易に実施できます。これらのテストのいずれかで肘の外側から前腕にかけて痛みが確認された場合、テニス肘と診断されることが一般的です。

①レントゲン検査

テニス肘は腱が炎症を起こす病気で、通常、レントゲン検査では骨に異常は見られません。しかし、レントゲン検査は骨折や他の疾患を見分けるのに役立ちます。さらに、症状が進行し慢性化した場合、炎症を起こした腱にカルシウムなどの沈着物が蓄積し、石灰化することがあります。この場合、レントゲン検査で短橈側手根伸筋が付着している部分に白くぼんやりとした影が映ることがあります。

②Thomsenテスト(トムセンテスト)

肘を伸ばし、手首を上向きに反らせた状態から始め、医師が下方向に力を加えることで、肘の外側に痛みが生じるかどうかを検査します。

③chairテスト(チェアテスト)

椅子を持ち上げる動作を行った際に、肘の外側に痛みが生じるかどうかを検査します。

④中指伸展テスト

医師が患者の中指を下向きに押す一方で、患者が反対に中指を上向きに持ち上げる動作を行った際に、肘の外側に痛みが生じるかどうかを検査します。

テニス肘の治療法

テニス肘の治療法は、主に薬物療法や理学療法を用いて痛みを管理することが基本的なアプローチです。安静にすることが重要で、症状が改善するまではテニスやその他の原因となったスポーツは一時的に中断することをお勧めします。

①痛み止め薬(内服薬、湿布)

症状が軽度の場合、腕を休めて、非ステロイド性消炎鎮痛剤や湿布を使用することで、症状は改善する可能性があります。ただし、これらの薬を長期間使用すると、消化器系(胃や腸)に副作用が現れることがあるため、注意が必要です。

②ステロイド注射

発症から約6週間(急性期)が経過し、物を握ることが困難なほどの強烈な痛みがある場合、ステロイドの注射治療が有効とされています。痛みを感じる肘部に直接治療薬を注入すると、翌日には痛みが大幅に軽減し、その効果は1~2ヵ月程度続くという利点があります。その期間中に、温熱療法やストレッチングなどの理学療法を併用することで、症状の根本的な改善を目指すことが可能です。

③理学療法

慢性化したテニス肘の場合は、温熱療法やレーザー治療、ストレッチなどの理学療法を行います。

④外科手術

症状が悪化し、薬物療法や理学療法での改善が見られない場合、非常に稀に手術が行われます。しかし、術後の回復が不確定であるため、手術は通常推奨されません。手術方法としては、「open法」、つまり短橈側手根伸筋の骨に直接アクセスして部分的に切除する方法と、「鏡視下法」、つまり関節鏡を使用して関節内から切除する方法の2つが主にあります。

ロコモーティブシンドローム

ロコモーティブシンドローム(以下ロコモ)とは

ロコモーティブシンドローム

言葉を簡単にすると、「年齢が進むと体の動きが悪くなる」という状態を指します。 現代では、高齢者でも活発な人が多いため、この状態を症候群として治療の対象にしています。 この症候群の対象となる疾患は、

  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 骨粗鬆症
  • 変形性膝関節症 の3つです。

主な症状としては、腰痛、膝の痛み、筋力の低下などがあります。これらの症状を全体的に考慮して治療を進めることが、この症候群の治療の目的です。

ロコモチェック

以下の項目が一つでも該当すれば、ロコモの心配があり、医療機関でのチェックをお勧めします。

交通事故治療

交通事故

車、バイク、自転車の運転、さらには歩行中でも、「交通事故」は予期せぬ瞬間に誰にでも起こり得る、それが交通事故の恐ろしい部分です。 交通事故による傷害は、受けるエネルギーが予想以上に大きいため、目に見える外傷だけでなく、精神的ストレスからも様々な症状が引き起こされやすく、その症状が長期化する傾向があります。 交通事故の直後、痛みや他の症状を感じない場合でも、必ず迅速に(遅くとも2週間以内に)整形外科を受診しましょう。

交通事故によるケガの特徴

①症状が長引く・後から出る傾向がある

交通事故による傷害は、予想外に発生するため、通常は傷つけない部分が損傷することが多いです。その結果、症状が長期化する傾向があり、個々の差はありますが、回復までに3~6ヶ月かかることもあります。 さらに、「むち打ち症」のような交通事故による一般的な傷害は、事故後しばらくしてから症状が現れることがよくあります。

傷害が発生した直後から適切な治療を開始しないと、痛みが悪化したり、症状が長期化(慢性化)したりする可能性があります。

②痛みが強い

交通事故は、高速で移動する乗り物との衝突により発生する傷害で、その衝撃力は本人が感じているものよりもはるかに強いです。予想を超える強烈な衝撃により、骨、筋肉、腱、神経などが深刻に損傷する可能性があり、その結果、痛みなどの症状が強く現れやすい傾向があります。

③目に見える外傷以外の損傷や精神的ストレスもある

交通事故による傷害は、出血や骨折といった目に見える外傷だけでなく、目に見えない内部の損傷も含みます。事故直後は普通に歩けるかもしれませんし、自覚症状がないと感じるかもしれませんが、体の内部には大きなダメージが生じている可能性があります。

さらに、被害者にとっては、「被害を受けた」というネガティブな感情が生まれ、それが仕事や学業への影響、日常生活の制限など、強いストレスを引き起こします。また、加害者と被害者の関係、自動車保険(自賠責保険や任意保険)、警察の介入、職場への連絡など、不慣れな事項への対応も精神的ストレスを増大させます。

さらに、事故の状況によっては、ケガが軽度であっても「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」やうつ病、運転恐怖症、パニック障害などを発症することがあります。また、検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、体調不良が現れる「不定愁訴」も見られることがあります。

交通事故によるケガで多い疾患・症状

むち打ち症(頚椎捻挫・外傷性頚部症候群)

むち打ち症」は公式の医学用語ではなく、車にヘッドレストが装備されていなかった時代に追突事故や衝突事故に遭遇した際、首が鞭のように振られることから名付けられました。

むち打ち症は、「頚椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頚部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」を指し、事故直後には痛みや不快感を感じないことが多いという特性があります。

「頚椎捻挫」は首の捻挫を指し、首から肩にかけての痛み、首の動きの制限、頭痛などの症状が現れます。さらに、「外傷性頚部症候群」は頚椎捻挫の症状に加えて、頭痛、肩こり、めまい、腕や指のしびれ、睡眠障害、うつ病などの全身症状が見られる状態を指します。 これらの疾患はいずれも、交通事故の衝撃により首の筋肉や腱が損傷することが直接の原因であり、レントゲン検査では骨折や脱臼などは確認できません。

事故直後は湿布や消炎鎮痛薬を使用しつつ、2~4週間程度首を安静に保ちます。症状が落ち着いてきたら、牽引療法や温熱療法に加えて、ストレッチや体操などのリハビリテーション治療を開始します。むち打ち症の早期回復のためには、適度な活動が重要で、過度な安静は避けるべきです。

ドケルバン病

ドケルバン病とは?

ドケルバン病

ドケルバン病は、親指と手首(手関節)を連結している「①短母指伸筋腱」と「②長母指外転筋腱」の2本の腱、およびそれらを覆うトンネル状の「③腱鞘(けんしょう)」が炎症を引き起こす状況を指します。

ドケルバン病の症状

  1. 親指を動かしたり(広げたり)、力を入れたりすると、親指側の手首が痛くなる
  2. 親指側の手首あたりが腫れる
  3. 酷くなると、力が入らなくなる

ドケルバン病を発症しやすい人:主に“女性”が多い

年齢別に見ると、ドケルバン病の発症ピークは2回あるとされています。

第一のピーク:妊娠・出産期:20~30代

第二のピーク:更年期:50代~60代

さらに、以下のような職業や特性を持つ人々が発症しやすいと考えられています。

「ドケルバン病」の原因

親指を使い過ぎ:ドケルバン病の一番の原因

親指に過度のストレスをかけると、親指を伸ばす「短母指伸筋腱」や広げる「長母指外転筋腱」の表面が損傷し、腫れ上がります。 同時に、これら2つの腱を覆う腱鞘も肥厚化し、腱の通路が狭まってしまいます。 さらに、腱の滑りが悪化するため、親指や手首を使うと炎症が広がり、腫れや痛みなどの不快な症状が増加する、という悪循環に陥ります。

そのため、ドケルバン病は「狭窄性腱鞘炎(きょうさくしょうけんしょうえん)」とも称されます。 また、近年では、スマートフォンの頻繁な使用者が「ドケルバン病」の診断を受けることが増えており、「スマホ腱鞘炎」という別名も生まれています。

女性ホルモンの変動:プロゲステロンの増加、エストロゲンの減少

「ドケルバン病」は女性に多い疾患で、その原因として「女性ホルモン」が関与しています。 ドケルバン病が発症しやすい時期の一つである妊娠・出産期には、「プロゲステロン」という妊娠を維持するためのホルモンが通常よりも多く分泌されます。

このプロゲステロンは、2つの腱を覆う「腱鞘を収縮させる」作用を持つため、腱の滑りが悪くなる一因となります。 一方、更年期には、「エストロゲン」とも呼ばれる卵胞ホルモンが閉経により減少します。 エストロゲンは、女性らしい体形を作り出す、髪や肌の潤いを保つだけでなく、腱や関節を柔軟に保つ作用も持っています。そのため、エストロゲンの減少は腱や腱鞘の炎症を引き起こす原因となります。

ドケルバン病の治療方法

ドケルバン病には、大きく分けて3つの治療法があります。

①保存的治療

ドケルバン病の治療において最も重要なことは、「親指や手首を可能な限り動かさずに休息を与えること」です。 患部の安静化(場合によってはスプリントで固定) 薬物療法(湿布や消炎鎮痛薬など) 患部の温熱療法 軽度の症状であれば、これらの治療を行うことで、大半のケースで痛みや腫れなどの症状が改善します。

②ステロイド注射トリアムシノロン

痛みや腫れが激しく、仕事や日常生活に影響を及ぼす場合、または薬物療法などを試しても改善が見られない場合、腫れた腱鞘にステロイド注射(局所麻酔含む)を行い、炎症、腫れ、痛みを軽減します。

③手術

腱鞘炎が深刻化し、力が入らない状態や再発が頻繁に起こる場合、手術が必要となることがあります。 手術の際には、トンネルの上部を開放し、腱鞘の内部を広げるために切開します。このプロセスでは、腱鞘内の2つの腱を分けている壁も取り除かれます。

手術は局所麻酔を使用し、日帰りで行うことが可能です(所要時間:約15分~30分)。しかし、重要な感覚神経が近くを通っているため、経験豊富な整形外科医による手術を推奨します。適切な医療機関への紹介も行います。 ドケルバン病の予防について

日常生活で、家事やスマートフォンの使用など、親指や手首を頻繁に使う動作が多いです。これらの動作は、気づかないうちに負担をかけてしまうことがあります。これからは、親指や手首への負担を意識しながら自己ケアを行い、ドケルバン病の予防に努めましょう。

セルフケア

①“手首を返す動作“を避ける

「鍋の蓋の取っ手を下向きに置く動作」や「ページをめくる動作」など、手首を反対側に向けてしまう動作が頻繁にあります。しかし、可能な限り手首を反対側に向けないように注意しましょう。

②親指・手首の負担を軽減する

親指の基部を反対の手で優しくマッサージすることを試みてみてください(各セッションは約30秒、1日に3回を目安に)。 さらに、スマートフォンの片手での操作は親指と手首に大きな負担をかけます。操作は両手を使用することを心掛けましょう。

③日ごろから大豆製品(豆腐・納豆・煮豆・みそ等)をバランスよく摂取する

「大豆イソフラボン」は大豆に含まれており、ドケルバン病の予防に役立つ「エストロゲン」に似た効果を持つとされています。これは「植物性エストロゲン」とも称されています。

早めの受診を

ドケルバン病の症状を改善するためには、まず「手を休める」ことが重要です。 しかし、実際に自分で手を使わない生活を送るのは困難で、手に痛みが現れた時に初めて、その使用頻度の高さに気づく人が多いです。

さらに、痛みだけでなく、しびれや力が入らない状態が出現した場合、それは重症化しているか、別の病気(例えば、手根管症候群や関節の変形など)の可能性を示しているかもしれません。これらの状況では、治療に時間がかかる可能性があります。

頻繁に使用する手に問題があると感じたら、「これはおかしい」と思った瞬間や、症状が改善しない場合は、放置せずに早めに治療を受けることをお勧めします。

母指CM関節症

母指CM関節症とは

母指CM関節症

「母指」は「親指」を指し、「CM関節」は「親指と手首の間の小さな関節」を指します。したがって、「母指CM関節」は一般的に「親指の根元の関節」を意味します。 親指のCM関節は柔軟性があり、物をつかむ・握る動作を可能にしています。

さらに、「変形性関節症」は、骨と骨をつなぐ関節をクッションのように覆う軟骨が摩耗し、骨同士が接触することで痛みや骨の変形が起こる疾患を指します。 したがって、「母指CM関節症」は、親指の根元のCM関節の軟骨が摩耗し、痛みや変形が発生する状態を示しています。

母指CM関節症の症状

痛みはまずだるさとして始まり、軟骨が徐々に摩耗すると、強烈でズキズキする痛みが現れるようになります。

上述の自覚症状に加えて、レントゲン検査でCM関節の変形(CM関節の間隔が縮小・軟骨が硬化して棘状になる・部分的な脱臼)が確認された場合、診断が下されます。

母指CM関節症を発症しやすい人

「母指CM関節症」は、他の変形性関節症と同じく、女性が罹患するケースが大部分を占めています。 特に、更年期以降の女性では、加齢に伴う老化現象として、関節軟骨が摩耗しやすく、関節炎を引き起こしやすい傾向があります。 さらに、若年層でも、CM関節部分の部分的な脱臼や骨折後に発症することもあります。

「母指CM関節症」の原因

①加齢・老化

加齢に伴い、骨の新陳代謝が低下し、関節軟骨の摩耗が容易に発生します。 趣味で頻繁に手を使う人だけでなく、特に何もしていない人でも病気が発生する可能性があります。

②親指への負担蓄積

日常的には気づかないかもしれませんが、私たちは飲み物を飲んだり、食事をしたり、服を着たり脱いだりするために、「掴む」や「握る」などの親指を使う動作を無数に行っています。 「母指CM関節症」は、このような親指の根元の関節に、関節の柔軟性を超える負荷が継続的にかかる結果として発生します。

特に、更年期の女性は、日々の生活の中で長い間家事を行っている人が多く、手を予想以上に酷使しているため、知らず知らずのうちに負荷が蓄積していることが多いのです。

③女性ホルモンの減少

「女性ホルモン」が女性に多い理由として関与しています。 更年期になると、「エストロゲン」とも呼ばれる卵胞ホルモンが閉経により減少します。 エストロゲンは、女性らしい体形を作るだけでなく、腱や関節を柔軟に保つ効果もあり、その減少は関節炎を引き起こしやすくする要因となります。

「母指CM関節症」の治療方法

①保存的治療(装具療法・投薬・温める)

母指CM関節症の治療において最も重要なことは、「親指の根元を可能な限り動かさずに休息を与えること」です。 軽度の場合、患部に湿布を貼り固定するだけで、多くの場合、痛みや腫れなどの症状が改善します。

②ステロイド注射

痛みや腫れが激しく、仕事や日常生活に影響を及ぼす場合、または投薬治療を試しても改善が見られない場合、関節内にステロイド注射(局所麻酔含む)を行い、炎症・腫れ・痛みを軽減します。 使用量は少ないですが、短期間で頻繁に接種すると、合併症(例えば、軟骨の損傷など)が発生する可能性があります。

③手術

痛みが激しく、部分的な脱臼や高度な関節変形、親指の「白鳥の首変形」が見られる場合、手術が必要となります。 手術は全身麻酔または腕の局所麻酔を用いて行われ、約1~2時間を要します。 手術後の3~4週間はギプスで固定し、その期間は強く握る動作を避ける必要があります。 強く掴む動作は、手術後3ヵ月を目指して、手術後約4週間からリハビリを開始します。

切除関節形成術

CM関節を形成する一方の骨(大菱形骨)の一部を切除し、CM関節周囲の靭帯を再構築します。

関節固定術

CM関節の表面を削り、関節を固定します。 これは、進行した母指CM関節症や、手に高い負荷がかかる力仕事が必要な人に対して行われることがあります。

母指CM関節症の予防

手を使う際に親指は他の指よりも頻繁に使用されるため、完全な予防は困難です。 そのため、病状の悪化を防ぐためには、日常的な自己ケアが重要となります。

オスグッド病

オスグッド病とは

オスグッド病は、太ももの前側に位置する大きな筋肉(大腿四頭筋)が、まだ成長途中の膝の下部の骨(脛骨粗面)を過度に引っ張ることで、成長軟骨が剥がれてしまい、痛みや腫れを引き起こす疾患です。

オスグッド病の症状

下記のような特徴的な症状が確認された上で、患者の性別、年齢、スポーツ活動の有無などの問診情報、さらにはレントゲン、MRI、超音波などの検査結果から、脛骨粗面に存在する剥離した小さな骨片などが確認された場合、その診断が確定となります。

オスグッド病が起こりやすい環境・年齢・性別

オスグッド病が発症しやすい人々の特性は次のとおりです。

オスグッド病は全般的にスポーツで発生する可能性がありますが、特に膝の曲げ伸ばしが多いバレーボールやバスケットボール、ダッシュやキック動作が多い野球やサッカーを積極的に行っている場合には、発症しやすい傾向があります。 以前、日本では部活動などで頻繁に行われていた「うさぎ跳び」が禁止された背景には、オスグッド病の発症率の影響があると考えられています。

オスグッド病の原因

①成長期:未成熟な骨が多数存在

小学校の高学年から中学生になると、これまで以上にクラブ活動や部活動でスポーツに熱心に取り組むことが多くなります。 この時期は、男子の成長期と重なり、軟骨が急速に骨に変化し、身長が伸びる子供も多いです。

しかし、筋肉や腱などの軟部組織は骨と同様に成長することができず、成長期には太ももの前部の筋肉(大腿四頭筋)の柔軟性が低下し、硬くなる傾向があります。 さらに、成長期の子供たちの骨には、骨の成長に必要な新しい骨(骨端核)が多く存在しており、その結果、骨の強度が比較的に弱くなる状態となります。

②膝を過度に曲げ伸ばしすることで、軟骨に過大な負荷がかかる

膝を動かす(曲げたり伸ばしたりする)行為は、膝の前面に位置する大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)とその付着部である膝蓋腱が脛骨(すねの骨)を引っ張ることで実現されます。 これら2つの要素が組み合わさると、成長期の間に太ももの前側の筋肉やその付着部の腱が、反復的に脛骨を引っ張り、過大なストレスを引き起こします。これにより、未成熟な骨や軟骨の一部が剥がれ、痛みや腫れが発生するのです。

オスグッド病の治療方法

オスグッド病の応急処置

膝のお皿の下部分の骨に痛みや腫れがある場合は、アイシングを行うことをお勧めします。 アイシングとは、お皿の下の骨やその周囲を氷で冷却することです。

①保存的治療

オスグッド病の主要な治療法は、「患部の安静化」です。 患部以外の部位については、トレーニングを継続することが可能です。 症状が初期段階であれば、「練習の量を制限する」または「安静にする」ことで、症状は改善します。 痛みを無視して運動を続けると、病状が悪化し、手術が必要になる可能性もあります。

さらに、症状の悪化を防ぐためには、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を伸ばすストレッチが有効です。 (画像引用)日本整形外科学会 膝をつくと痛む場合は、左の図のように立った状態で行うと良いでしょう。 また、痛みや腫れがある場合には、ストレッチやアイシングと並行して、非ステロイド性抗炎症薬を含む鎮痛剤や湿布薬、低周波治療を行うと良いでしょう。

②装具療法(オスグッドバンド)

痛みが長引いている場合、脛骨粗面への負荷を減らすために、膝用の特別なサポーター(オスグッドバンド)を使用することも有益です。

③手術(遊離骨片摘出手術)

保存療法や装具による治療を試しても痛みが軽減せず、スポーツ活動や日常生活に影響を及ぼす場合、外科的な治療法である遊離骨片の除去手術が必要となることがあります。 手術では、小さな骨片を取り除き、脛骨粗面部の突出した骨を切除して平らにします。 手術後の予後は、一般的には良好とされています。

オスグッド病からのスポーツ復帰時期

オスグッド病が発症した後は、定期的に痛みの度合いとレントゲンによる回復状況をチェックしつつ、リハビリを少しずつ進め、段階的に運動量を以前のレベルに戻していきます。 通常、試合形式の練習に戻るまでには、初期症状の場合は平均で6週間、症状が進行していた場合は平均で13週間必要となります。

オスグッド病の予防

成長期における「大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の硬化」がオスグッド病の主な原因となります。 そのため、スポーツを行う前後には、丁寧にストレッチングを実施し、太ももの前側の筋肉の柔軟性を維持することが重要です。

さらに、オスグッド病は主に軸足に発生するため、ジャンプやストップなどの動作は両足で均等に行うことが推奨されます。そのため、指導者は個々の身体能力や左右のバランスを考慮に入れたトレーニングプログラムの作成が重要となります。

シーバー病

シーバー病とは

シーバー病

「シーバー病」は、「踵骨骨端症」とも称され、これはかかとの骨(踵骨骨端核)の端部が剥離したり、その前方の踵骨軟骨(成長軟骨)に炎症が発生する状況を指します。

シーバー病の症状

以下のような特徴的な症状の観察に加えて、問診(性別、年齢、スポーツ活動の有無など)やレントゲン、超音波検査を通じて診断が行われます。

シーバー病を発症しやすい人

シーバー病は、スポーツを行う際に発生する可能性がありますが、特にジャンプや長距離走が多いサッカーや野球、バスケットボール、または裸足で行われる剣道や体操を積極的に行っているときにより頻繁に発生します。 さらに、シーバー病を発症した方の約80%が、偏平足などの足のアライメントの問題(つまり、骨や関節の問題)を持っていたとの報告があります。

シーバー病の原因

シーバー病は、成長期にかかとに過度なストレスがかかることが原因です。 以下の2つの要素が組み合わさると、未発達の骨や軟骨の一部が剥離し、痛みや腫れを引き起こします。

①成長期(未熟な骨が多数存在する)

シーバー病の発症は、主に小学校の高学年(約10歳)で多く見られ、これは男子の成長スパートと一致します。 成長期の子供の骨は、既存の骨に加えて、“成長軟骨”と“骨端核(骨の端部の小さな骨)”が多く含まれており、これは骨の強度が比較的低い時期を示しています。

また、腱などの軟部組織は骨とは異なり、同じ速度で成長することができないため、成長期にはアキレス腱の柔軟性が減少し、硬化しやすい状態になります。

②かかとへの負担過多

アキレス腱はかかとの骨の端部に接続されており、過度な運動によりアキレス腱の引張力を利用すると、未発達なかかとの骨端核(踵骨骨端核)に過大なストレスがかかり、これが直接的な原因となります。 さらに、偏平足や外反足などの足のアライメント(骨や関節)の異常を持つ子供たちは、構造上、かかとに負荷がかかりやすくなるため、シーバー病の発症リスクが高まります。

シーバー病の治療方法

シーバー病はスポーツに関連した障害であり、基本的な治療法は「患部の安静化(保存治療)」が主となります。

①保存治療

歩く際に痛みがある場合、松葉杖を使用してかかとの負担を軽減させるケースがあります。 足のアライメントに異常があると、正しい姿勢が維持しにくく、かかとにストレスがかかりやすくなり、再発のリスクが高まります。そのような場合、運動用の靴に補正装具を継続的に取り付けることを推奨します。

②ステロイド注射

痛みや腫れが激しく、日常生活に影響を及ぼす場合や、投薬治療等が効果を示さない場合、腫れたかかとにステロイド注射(局所麻酔含む)を行い、炎症・腫れ・痛みを緩和することがあります。 また、シーバー病は通常、機能障害を引き起こすことはなく、外科手術が必要となるケースはほぼありません。しかし、早期に発見し、治療を開始することが、スポーツへの早期復帰につながります。

シーバー病からのスポーツ復帰時期

運動中に痛みを感じる場合は、かかと(患部)への負荷を避け、安静にし、運動の量を調整して減らすことが必要です。 さらに、歩行時でも痛みがある場合は、一時的に運動を停止することをお勧めします。 その後、痛みの度合いとレントゲンによる回復状況を定期的に確認しながら、リハビリを少しずつ進め、運動量を段階的に元のレベルに戻していくことが求められます。 通常、1~2ヶ月でスポーツに復帰できることが多いです。

シーバー病の予防

シーバー病の予防には、アキレス腱と足底腱膜(そくていけんまく)のストレッチングが非常に重要です。

シンスプリント

シンスプリント

シンスプリントとは 「シンスプリント」は、別名「脛骨過労性骨膜炎」とも称され、これはすねの骨(脛骨)に密着している骨膜(筋肉に相当)が炎症を起こしている状態を指します。

シンスプリントの症状

初期段階では、運動後に「ジーンとした鈍い痛み」を感じるだけで、徐々に運動中でも痛みが生じます。症状が進行すると、安静時でも痛みが出現し、歩くことが次第に困難になります。

シンスプリントが起こりやすい人

シンスプリントの原因

①運動量や質の急激な変化

ランニングの量や質などの運動パターンが急に変わると、すねの骨に接続している前脛骨筋やひらめ筋など、ふくらはぎの周囲の筋肉を過度に使用することがあります。

特に新人選手や長い間運動をしていなかった人々は、くるぶし等の足関節の柔軟性が不足していたり、膝からくるぶしまでの下腿の筋力が不足していることから、トレーニングの疲労が溜まった時にシンスプリントを発症しやすい傾向があります。 さらに、競技者でも、シーズンの初めや集中的なトレーニング期間などでは、シンスプリントの発症リスクが高まります。

②足のアライメント(形)異常

偏平足や回内足(シューズの内側が摩耗する)など、足のアライメント(形状)に問題がある人は、すねの周囲の筋肉に過大なストレスがかかり、炎症を引き起こしやすくなります。これにより、シンスプリントの発症リスクが増加します。

③運動環境

さらに、以下のような運動環境もシンスプリントの発生を促す要因となります。

疲労骨折との違い

シンスプリントは腱膜の炎症であり、初期段階ではレントゲンには映らない特性があります。 レントゲンに映るということは、症状が既に進行し、骨にも異常が生じている証拠となります。 さらに、「疲労骨折」というシンスプリントに似た疾患が存在します。 特に、長期間にわたりすねの内側の筋肉だけに痛みがある場合、「疲労骨折」の可能性を考慮する必要があります。

疲労骨折もまた、初期段階ではレントゲンには映らないため、シンスプリントとの区別には、MRI検査(T2脂肪抑制撮影)が効果的です。

シンスプリントの治療方法

シンスプリントはスポーツによる過労性の疾患であり、基本的な治療法は「患部の安静(保存治療)」が中心となります。

①保存治療

まず、患部を安静に保つことが重要です。 初期段階では、約2週間の安静状態で大部分が改善するでしょう。

②体外衝撃波治療

シンスプリントの発症例の大部分は「保存治療」により改善されます。 しかし、一定期間(約6か月)保存治療を受けても症状が改善しない難治性のケースや、プロの競技者などで早期に痛みを軽減したい場合、これまでは保存治療以外の効果的な治療法が存在しませんでした。

その一方で、近年では一部の医療機関で「体外衝撃波」を用いたシンスプリントの新たな治療法が導入され始めています。 「体外衝撃波」は元々、腎臓結石の破砕治療に使用されていましたが、整形外科の領域でも特にヨーロッパを中心に広まり、欧米ではスポーツ選手の低侵襲治療として活用されています。 「体外衝撃波治療」では、体外から衝撃波を照射することで、疼痛の軽減や損傷した組織の修復促進が期待されます。

副作用はほぼなく、基本的には一度(約15~30分)の外来治療で完了します。 ただし、シンスプリントの治療として行う場合、保険適用外となるため、自由診療(自費)となります。

シンスプリントからのスポーツ復帰時期

運動中に痛みを感じる場合、ふくらはぎの周囲(痛む部分)に負荷をかけないように、安静にすることと運動の量を調整して減らすことが必要です。特に、歩行時に痛みを感じる場合は、一時的に運動を停止することをお勧めします。 焦りから不完全な状態で再開すると、再発の可能性が高まるため、避けるべきです。

自発的な痛み(何もしない状態でも痛みがある)が消えたら、ウォーキングなどの軽い運動から始めてください。両足でジャンプしても痛みがなくなったら、ランニングなど、徐々に運動を増やしていくことが重要です。 スポーツへの復帰の目安は、軽度の場合は約2週間、重度の場合は約2~3か月後となります。

シンスプリントの予防

ばね指

ばね指(弾発指)とは

ばね指

「ばね指」は、「指の腱鞘炎」と呼ばれ、これは肘や手首と同様に、過度な手の使用が原因で発生します。 この病状が進行すると、次のような症状が出現します。

  • 手のひら側の指の基部には、圧痛、腫れ、または熱感が存在します。
  • 指の曲げ伸ばしはスムーズではなく、途中で引っ掛かりが生じます。
  • 起床時には、指が硬くなり、動かすのが難しくなります。
  • 指が曲がった状態から戻らないことがあります。
  • 曲がった指を無理に戻そうとすると、力を入れると突然はねる(ばね現象)ことがあります。

上記の症状のうち1つでも該当する場合、「ばね指」である可能性が考えられます。 「ばね指」は、どの指でも発生することがありますが、特に親指、中指、薬指に多いです。また、起床時に症状が強く出るが、日中に手を使うと症状が改善する傾向があります。

初期段階では、軽度の痛みや違和感が主で、安静にしていると多くの場合は回復します。しかし、症状が進行すると、次第に激しい痛みや「ばね現象」が出現し、重症化すると指が全く動かなくなることもあります。

発症のメカニズム

手の指には、「屈筋腱」と「靭帯性腱鞘」という二つの組織が存在し、これらが協調して動くことで指の曲げ伸ばしが可能になっています。

しかし、何かの原因で指の腱鞘に炎症が生じると、腱鞘が腫れて厚みを増し、その結果、腱の通り道が狭くなります。これにより、腱と腱鞘が摩擦し、痛みを引き起こします。

さらに、摩擦により腱の一部にも炎症が生じ、肥大化します。これが腱鞘内を通過する際に引っ掛かるため、指の動きがスムーズでなくなり、指が曲がった状態から伸ばすのが難しくなるという症状が出現します。

指が曲がった状態から戻そうとする際に、強い力を無理に適用すると、腱が引っ掛かっていた部分が解放され、腱鞘を通過する瞬間に指が急激に伸びます。この動きは「ばね現象」と呼ばれています。

ばね指の原因

過度の指の使用

日常的に手や指を過度に使用している人は、腱と腱鞘に大きなストレスがかかり、炎症が発生しやすいです。特に以下の活動は、ばね指の発症を引き起こす可能性が高いとされています。 パソコンのキーボードやマウスの使用 ゴルフやテニスなどの手を必要とするスポーツ ピアノなどの指を頻繁に使用する楽器の演奏

ホルモンバランスの変動

特に女性は、妊娠や閉経などのライフステージの変化により、ホルモンバランスが大きく変わります。年齢とともに女性ホルモンの分泌が減少すると、筋力や骨密度の低下だけでなく、腱や腱鞘も弱くなり、傷つきやすくなるため、ばね指のリスクが増加します。

ばね指を発症しやすい人

更年期~更年期後の女性

50歳前後の女性は、女性ホルモンの分泌により、腱や腱鞘が弱化し、さらに血行不良により腱鞘の内部が狭くなるため、ばね指の発症リスクが増加します。

妊娠中または産後の女性

更年期と同じく、妊娠中や産後の女性はホルモンバランスが不安定になり、一時的に更年期に似た状態になるため、ばね指のリスクが高まります。

関節リウマチ、糖尿病、人工透析患者

関節リウマチや糖尿病などの慢性疾患を持つ人は、末梢血行が悪化するため、ばね指を発症しやすくなります。 また、一度炎症が起こると治りにくく、重症化する可能性もあります。 複数の指に発症する(多発性)場合や、一度改善した後に再発するケースもあるため、根本的な疾患の治療が重要となります。

ばね指の診断法

問診と触診

医師は問診と触診を通じて、指の腫れ、痛み、または「ばね現象」の存在などの症状を確認します。これにより、ばね指の診断が行われます。

レントゲン検査

ばね指は腱と腱鞘の炎症であるため、レントゲン画像には映らないのですが、骨の異常の有無や他の類似疾患との鑑別診断のために、レントゲン検査が行われることがあります。

ばね指の治療法

ばね指の治療は、基本的には指の動きを改善し、痛みを軽減することを目指します。 治療法は主に「保存的療法」(症状の改善を目指す)と「手術療法」(根本的な治療を目指す)の二つに分けられ、診断結果に基づき、以下の治療法を単独または組み合わせて行います。

保存的療法の種類

安静化

軽度の場合、過度の使用を避け、安静にすることで症状が改善することがあります。 患部の負荷を軽減するため、一時的に副木やサポーター、テーピングなどで関節を固定することもあります。

痛み止めの処方

炎症を抑え、痛みを軽減するために、湿布や塗り薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)を処方します。

理学療法

超音波や電気刺激などの治療を行います。 治療器具の刺激が患部の深部まで届き、血行を改善し、痛みを和らげます。 また、理学療法士によるマッサージ(ストレッチ)を行うこともあります。 薬のような即効性は期待できませんが、長期的に取り組むことで慢性的な症状も改善することが期待できます。

腱鞘内ステロイド注射

痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合、炎症が起きている腱鞘内に直接、ステロイド剤と局所麻酔薬を混ぜた注射を行います。 特に「トリアムシノロン」というステロイド剤は効果的で、一度の注射で3~6ヶ月程度の痛みの軽減が可能です。(※効果には個人差があります)

一度で完治することもありますが、期待通りの効果が得られない場合や、症状が再発した場合には、再度、注射を行う必要があります。 ただし、ステロイド治療は頻繁に行うと、感染症や腱や腱鞘の断裂などの副作用のリスクが高まるため、治療の回数や頻度は医師の指示に従う必要があります。

手術療法

「腱鞘切開」手術

ばね指の場合、最初から手術を推奨することはほとんどありません。 しかし、ステロイド注射を行っても症状が改善しない場合や、頻繁に再発する場合には手術を検討します。 手術は、痛みの源である腱鞘を切開し、その一部を除去することで、痛みを改善することが可能です。 手術自体は、1㎝程度の切開で済み、所要時間も15分程度と短いため、日帰りで行うことが可能ですが、術後一週間程度は、手を濡らさないように注意する必要があります。